2025年7月17日、代官山SPACE ODDにて「Daikanyama SPACE ODD presents -Brotherhood-」が開催された。
個性豊かな5組のバンドが、それぞれの持ち味を存分に発揮しつつも、いずれもハイクオリティな演奏とパフォーマンスで観客を圧倒。非常に見応えのあるライブに、フロアからは終始熱い声援が飛び交い、観客は大満足の夜となった。
この日のトップバッターを務めたのは、ジャンルにとらわれない独自の音楽センスが光る「湯冷めラジオ」。
彼らのエネルギッシュなライブに迫る。
出演: 湯冷めラジオ / 徒然書簡 / Esteban / chatoe / utari
湯冷めラジオ
1曲目に披露されたのは、湯冷めラジオの中でも特にキャッチーで人気の高い「ディストラクション・ガール」。イントロのギターサウンドが会場に響き渡ると、フロアの空気が一変し、観客の視線がステージに集中する。
レナの重厚なベースが空気を震わせ、ゴキタの鋭いギターがさらに熱を加えていく。
この日はサポートドラマーとして、Awesome &roidのイヌイチキムラが参加。彼のパワフルなドラムが加わることで、湯冷めラジオの楽曲にこれまでにない躍動感が生まれ、バンドの新たな一面が引き出されていた。
そして緋乃の力強く透明感のある歌声が、イベントの幕開けを告げるように高らかに響き、会場のテンションは一気に最高潮に。広がりのあるアンサンブルが、聴く者の想像力をかき立てる。
続く2曲目は「ブルーボネット」。
緋乃の美しいハイトーンボイスが会場を包み込み、メンバーのコーラスとの掛け合いも息が合っていて美しい。間奏からエンディングにかけてのゴキタのアルペジオが、胸に余韻を残し、静かな感動が広がった。
3曲目の「フランチェスカ」では、打って変わって落ち着いた空気が流れ出す。
ディレイの効いた幻想的なギターサウンドが響き、まるで音楽の中をゆったりと漂うような心地よさに包まれる。終盤に差し掛かると、緋乃によるポエトリーディングが始まり、演奏は徐々に激しさを増していく。
静と動が交錯する展開は、このバンドの真骨頂とも言える美しさを見せていた。
最初のMCでは、緋乃がこの日サポートを務めたイヌイを紹介する。
「湯冷めラジオはおとなしいバンドだと思われがちですが、イヌさんが加わることで、パワフルで元気なバンドに生まれ変わったみたいです」
という言葉に、フロアからもあたたかな拍手が送られる。
4曲目は「モナーク蝶」。軽やかに舞う蝶のように、どこまでも遠くへ飛んでいけそうな、自由で伸びやかなサウンドが響き渡る。広がりのあるアンサンブルが、聴く者の想像力をかき立てる。
2度目のMCでは、前日に発表されたばかりの新曲「shinjuku」について、緋乃がその制作の経緯や思いを語った。あえて新宿という地名をタイトルに選んだのは、彼女自身の体験がそこに息づいているからだという。
そしていよいよ、この夜初披露となる「shinjuku」の演奏が始まる。
アップテンポで躍動感のあるこの曲は、まるで会場と一体になって羽ばたくように、観客を巻き込みながら大きな盛り上がりを見せ、ステージはクライマックスへと駆け上がっていった。
ジャンルにとらわれず、常に進化を続ける湯冷めラジオのライブは、これからの活動にますます期待を抱かせるものだった。あの夜の高鳴りは、きっと観客一人ひとりの胸に、まだ冷めぬ熱を残している。
utari
音楽を心から楽しみ、全身で表現するutariのパフォーマンスは、観客の胸に強く響いた。
楽曲の細部にまでこだわりが感じられ、ステージ全体があたたかい空気に包まれる、心地よい時間となった。
chatoe
ボーカルの伸びやかな歌声と、バンド全体の表現力が非常に魅力的。
落ち着いた佇まいの中にも、楽曲ごとに表情を変える演奏が光り、観客の耳と心を惹きつけていた。
徒然書簡
すべての楽曲に物語性があり、ステージから目が離せないほどドラマティックな構成が印象的。
洗練された大人の雰囲気とセンスが漂い、観る者を惹き込む力に満ちていた。
Esteban
どこか懐かしさを感じさせつつも、新しさも併せ持つ楽曲が感情を揺さぶる。
リッチで厚みのあるサウンドと、圧巻のパフォーマンスでこの日のライブのトリを飾り、観客を魅了した。
湯冷めラジオが切り拓いた熱気あふれるオープニングは、他の出演者たちへとしっかりとバトンが渡され、イベント全体に一体感をもたらした。
彼らのジャンルにとらわれない音楽と、観る者の感情を揺さぶる表現力は、この日のステージの象徴だったと言えるだろう。
「Brotherhood」というタイトルが示す通り、バンド同士の刺激と共鳴が生んだこの一夜は、湯冷めラジオの存在によってより色濃く彩られた。これからの彼らの活動にも、ますます注目していきたい。