過去がフラッシュバックしながらも目の前の”別れ”を受け入れられない気持ちを切なく歌い上げています。
自分はまだ好きな相手に対し、彼が去っていくことに対し、強がりながらも受け入れる様子は誰しも経験があるかもしれません。
中谷桃花さんの切なさ溢れる美しい歌声が、失恋ソングとして聴く者の胸に訴えかけます。
今失恋中の人も、過去にそのような思い出がある人も、情景が思い浮かび心揺さぶられるでしょう。
夜景の中で歌うMVもぜひ一緒にチェックしてみてください。
歌詞に迫る
消えそうな花火が
いたずらな涙が
この恋のエンドロールだった
君の声が聞きたいのに
なにが私の邪魔をするの
渡すはずのおそろいの香水は
まだ私だけの香りのまま
一緒に見ている花火、そして泣きたくはないのにこぼれる涙。
好きな彼からの別れの言葉が自分の思いとは裏腹に邪魔をしてきます。
”渡すはずのおそろいの香水”とは、既に彼とお揃いではあるけれど
これからも使ってほしいと用意したものでしょうか。
”私だけの香り”という表現から、今はまだ彼は私の隣にいる存在を示しています。
でもそれはあと少しだということを心が理解しています。
誰よりも ねぇ
私だけ あぁ
なんて弱気になってしまうほど
わかりやすく泣き虫なんだ
どうして君のことになるとこうなの?
大好きな彼のことになると、弱気で泣き虫になってしまう私。
それでも自分でコントロールがききません。
それほどに大事な存在なのだと伝わってきます。
どうでもいい人や、どうでもいいことに感情が左右されることは少ないですが、
好きな人に対してはみんな揺さぶれますよね。
消えそうな花火が
いたずらな涙が
この恋のエンドロールだった
あったかい君の肩
狂おしいくらいに愛おしくて
そっぽ向いた泣き顔で
君に言った『大丈夫』は
精一杯の嘘つき。
”あったかい君の肩”は、今隣で一緒に花火を見ているということです。
このぬくもりを感じる幸せとは裏腹に、離れなくてはならない現実に涙が出てしまいます。
本当は彼に本心をぶつけて、別れたくないと素直に言いたいけれど、それができません。
”大丈夫”という強がりは彼に対しても自分に対しても嘘には代わりありません。
帰り道通ってたお花屋
いい香りだねって笑い合ったね
君との思い出が
あの日くれたスミレの花も
忘れらんないよ
彼とのデートでの帰り道、いつも通っていたお花屋さんでのワンシーンを思い出します。
一緒に笑い合ったこと、彼がスミレをプレゼントしてくれたことも、
何度もそこを通ったという2人の思い出を連想させます。
だからこそその頃を思い出すと辛くなります。
そばにいて ねぇ
枯れないで まだ
必死に作ってる笑顔に気づいてよ
でも本当は気づいてたんでしょ
別れ際に言った「またね」は信じていいの?
そばにいてほしい、まるで2人の関係を花に例えるかのように”枯れないで”と願います。
別れることに、強がって笑っている私に気づいていることも、
おそらく望んでいる”またね”ではないこともわかっています。
すべてを飲み込んで、受け入れるしかないのです。
心が熱くなって
逃げ出した帰り道
私もそうだよ
君の涙も全部
かってるよ
わかってるんだよ
涙花火 咲き散った
別れることに対して、我慢していた涙も気持ちも溢れてしまいます。
自分の辛さも、彼の気持ちや涙も痛いほどにわかる。
わかるからこそ辛いのです。
題名にもなっている”涙花火”とは、まさに別れのエンドロールであり、
咲き散ってなくなってしまいます。
咲き誇った花火が
いじわるな笑顔が
私の心を独り占めした
もう忘れらんないじゃん
これがエンドロールだったのに
背中向けてうつむき顔で
君に言った『すきだよ』は
精一杯のさよなら。
夜空に満開に咲き誇る花火、彼の笑顔が余計に後ろ髪を引かれます。
もうこれが最後、自分も諦めようと思っていたのに、忘れられなくなってしまいます。
”さよなら”の気持ちをこめた、”好きだよ”は彼に届いたのでしょうか。
最後に
花火と別れをかけた切ない失恋ソングですが、
中谷桃花さんらしい細かい情景や心境の変化を比喩するところが特徴的です。
花火の季節に聴きたくなりますね。
別れは、必ずしもお互いが同じ温度で同じ気持ちではありません。
その辛さがこの楽曲にも散りばめられています。
ぜひ彼女の世界観に浸りながらゆっくりご視聴ください。