katawaraさんの「春よ」をご紹介します。
シンプルな音色から始まり、後半にいくにつれてだんだんと盛り上がりをみせます。
MVも最初は少し影が多い映像ですが、だんだん明るくなっていくのも楽曲とリンクしています。
日本の春、令和の春を手にとるように感じることができる楽曲です。
冬の寒さを脱いで春へと向かう日々は、私たちの気持ちと連動するように揺れ動きます。
世界の広さを知ることよりも、今目の前で咲く花や、一緒にいるあなたとのことを大切にしたい。
四季の中でも春は、丁寧で優しく、繊細に移ろう季節なのだと感じます。
ぜひ綺麗な桜をMVで見てみてくださいね。
歌詞に迫る
淡い雪が名残れば
暖かい春は積もる
窓の外で貴方の
はなうたが咲いた
雪が積もるように、春も積もるのです。
花が咲くように、貴方のはなうたも咲くのです。
そんな比喩を用いた歌詞は、日本語の美しさが際立ちますね。
少しずつ、身近なところから春を感じる様子が伺えます。
春が来た
春が来た
”春が来た”というフレーズは、淡々とした事実を述べるように感じますが、実はその中に嬉しさを秘めているのです。だから2回繰り返すのかな、と感じます。
風は光り、草木を
模るように吹き抜ける
微睡みの中で
あなたの影に手を伸ばす
冬は銀世界、色がない白や透明な印象を与えますが、春は彩りを感じます。
花の色や草木の色、風も光って色を纏うようです。
暖かい風が吹き抜けて、あなたの影に手を伸ばす私は、きっと幸福の中にいるのでしょう。
微睡みも春の季語のようですね。
遮るる季節の中で いつも
そばで笑って
花が散るまで
世界の広さなど
知らぬままでいい 春よ
”花が散る”とは、桜の花を指しているのでしょうか。
大切な人がいつもそばで笑ってくれる、ただそれだけでいい。
それだけで幸せを感じることができるのです。
広い世界のことなんかよりも、目の前のささやかな幸せを感じていたいのです。
それ以外のことは考えられないくらいに。
流るる時間の中で いつも
ああだってこうだって
言葉が舞った
眩暈がするほどに
紡ぐ想いは貴方だけ
”ああだって こうだって”、他愛のない会話ができることが幸せ。
そんな日々が愛おしく、君への想いも紡がれていくのです。
春に感じる気持ちは人それぞれですが、この主人公は優しい幸せを噛み締めています。
巡るる季節の中で いつも
そばで笑って
花が散るまで
世界の広さなど
知らぬままでいい 春よ
淡い雪が名残れば
暖かい花は積もる
僕のそばで貴方の
はなうたが咲いた
”暖かい春”から”暖かい花”に変化していますね。
そして”外で貴方のはなうた”が、”そばで貴方のはなうた”が咲くのです。
春の中でも日々は過ぎ、その中でも小さな幸せな変化が続いていきます。
たとえ花が散ったとしても、この春の貴重な日々は自分の心の中に永遠に残るでしょう。
最後に
いかがでしたでしょうか。
春という季節は、様々な想いをのせて通り過ぎていくものです。
出会いも別れもあり、新しい生活が始まったり。
桜の花が満開の時期もわずかなのも、刹那的な感情を抱きやすい一つの要因なのかもしれません。
だからこそ、それぞれの春があって、それぞれの春の思い出を持って生きていくのです。
この楽曲はとてもシンプルですが、そのすべてを凝縮したような素晴らしい一曲になっています。
ここまで春を詳細に表現できるアーティストもなかなかいません。
ぜひそれぞれの春と照らし合わせて聴いてみてくださいね。