tiny yawnさんの「花筏」をご紹介します。
イントロから美しいギターのアルペジオ。楽曲の世界観を表現しています。
楽器それぞれの調和が取れていて、絶妙なバランスが心地良いのです。
ささやくように、でも芯は強い歌声がしっかりと語りかけます。
MVでは美しい自然が沢山出てきます。白銀の中で放浪の旅をしているような主人公が自分と向き合っているような感じです。俗世間から離れて、大自然の中で自分の在り方や、地球での時の流れなどを感じているのでしょうか。
宇宙の中で一瞬のように咲いて散る花のような命。そしてまた花が咲いて散っていく。
人間の人生は儚いように見えるけれど、その中には沢山のドラマがあります。
ここからは歌詞の考察をしていきます。
歌詞に迫る
眦を辿って光る彗星が消えた時
僕ら過ごした時間もずっと
昔のことだね
私たちが生きている時間は、宇宙の時間軸から見ると一瞬のように流れていきます。
彗星が消える頃には、私たちが地球で過ごした時間もずっと昔の出来事です。
半径5メートルの世界線ではなく、宇宙規模で自分たちを俯瞰しているところがポイントですね。
36度の地球が懐かしく感じても
近づけないや今更わかっている
”36度の地球”とは、地球上の位置を表す際に用いられる緯度のことを指しています。
北緯36度の地球にはもう近づくことができません。
懐かさを感じていることから、過去の出来事なのでしょう。
近づけなくなってしまったのは、地球の位置が変わったのか、それとも・・・。
こんな思いを燃やしてしまえば
明日にはどんな花が咲くの
”こんな思い”とは、過去の地球を懐かしく思うことなのでしょうか。
自分の思いが変われば、また違う花が咲くような印象を受けますね。
花は、新しい命を示唆しているのかもしれません。
遠い遠いどこかの町で生活が続く時
僕ら交わした
言葉はきっとただの気休めだ
自分たちが今いる場所からかなり離れた場所での、知らない町での誰かの生活。
一体どんな言葉を交わしたのでしょう。
今は遠い場所にいるけれど、遠い町での生活をしているのは過去の自分たちのことを指しているようにも感じます。
果てない願いを終わらせてしまえば
少しはマシな夢を見るの
自分が望むこと、願うことを何度も消し去ろうとするのは、
現実は思うような世界とは違うからなのかもしれません。
今見ている夢は、楽しかったり幸せな夢ではないようです。
花が咲いた
ひとつ咲いた
僕はここで
僕はただここで
花が咲くことは喜ばしいこと。
その花が僕自身であり、ここで命を燃やすのです。
風が吹いて
落ちて消えた
僕はいない
僕はもういない
ここにはもう
風が吹けば咲いた花も落ちて消えてしまいます。
そう、自分という命も儚い存在なのだと比喩しているようです。
花が咲いた
ひとつ咲いた
風が吹いて
落ちて消えた
そしてまた花が咲いて風が吹いて落ちて消えていく。
その繰り返しが生命の宿命ではありますが、だからこそ一瞬咲く花がとても美しく見えるのでしょう。
最後に
いかがでしたでしょうか。
自分の人生と、宇宙の中での地球という星からみた命の対比が絶妙に描かれています。
私たちが紡いだ言葉、営み、それらは儚いけれど、しっかりとその痕跡を残しているのです。
花が咲いて散ってしまうことの繰り返しかもしれないですが、それこそが命のバトンを繋いでいる証でもあります。
どんなに懐かしくても昔に戻ることはできないからこそ、今を大切に生きていきたいですね。
あなたは何を感じましたか。