downtの「minamisenju」をご紹介します。
イントロから感じられる疾走感に加え、随所に差し込まれるアルペジオが印象的なアクセントとなっています。
彼らの音楽は、まるで全身で音を浴びるように奏でられ、その姿がとてもクールです。
歌声は優しくも、同時に魂の叫びのような熱量を帯びて、聴く人の心にまっすぐ届きます。
タイトル「minamisenju」は、東京の地名「南千住」を指しているのでしょうか。
ここからは歌詞の内容に触れながら考察を進めていきたいと思います。
歌詞に迫る
今日も不安だけが
なんとなく先を急いでいるんだ
何か特定のものに対してではなく、漠然とした不安ばかりが先走ります。
”今日も”ということは毎日この不安と隣り合わせということになります。
いつも自分の中には不安が先だっているのですね。
大事なものがこぼれおちていく
意味もなくただじっとみつめて
むせかえるように思い出す
大事なものとは一体何を指すのでしょうか。
それはきっと、自分にとっての大切な思い出だったり、過去の記憶だったり。
むせかえるように思い出すのは、その時の情景や感情が一気に押し寄せるからなのでしょう。
君の歌が忘れられないから
ああ、もう何も出来ないや
大事なものの存在がここではっきりします。
君と過ごした日々や、君の歌が、私にとっては大事なものなのです。
忘れることができないと、前に進めないような印象を受けます。
君とはもう離れてしまっていることが伺えますね。
散らかってしまった感情を
埋め合わすようにだれかを疑う
繰り返しておけよ
きっといつか終わるんだ
君のことが忘れられず、心の中もぐちゃぐちゃです。
そんなむしゃくしゃする感情をなだめるように、他の誰かを疑っては後悔することを繰り返す。
でも、それもいずれ終わりがきます。
だから、無理に自分の感情を曲げないで、自分の意思に従った方が今は良いのかもしれません。
わかりあえるはずないだろう
誰も悲しまぬように
絞り出した言葉は
あまりにも無力で
あまりにも無価値だ
無価値だ
わかりあえない人とは、大切な君を失った私と他の誰かなのか。
それとも君と私なのか。
悲しみを負った自分が発する言葉は、本心ではなく、誰も悲しまないように発した言葉です。
そんな言葉に何も効力はないのです。
きっと自分の本心をぶつけたのなら、相手が傷ついてしまうことをわかっているからですね。
最後に
いかがでしたでしょうか。
ギターサウンドが光る一曲ですが、歌詞のなかでは自分にもがく主人公の姿が表現されていました。
心に深く刺さるメッセージに、思わず感情移入していまします。
大切なものを失っても、生きていかねばならない苦しみや葛藤が読み取れました。
あなたはこの曲を聴いて何を感じましたか?