橋爪ももさんの「猫です」をご紹介します!
猫の立場から見るこの世界を橋爪ももさん独自の比喩や言葉で表現しています。
夏目漱石の吾輩は猫であるとはまた違う視点で、人間のような優しい心を持つ猫の気持ちの描写が素晴らしいです。
思わず涙がこみあげてくるような、橋爪ももさんの歌声とともに心に染みわたる一曲になっています。
ライブでもさまざまな表情を見せる橋爪ももさんの魅力がたくさん詰まっています。
ぜひMVと一緒にご視聴ください。
歌詞に迫る
拝啓
猫です 実は僕前世が人間だったらしく 少し覚えている
猫です 今日水をかけられました 特に悪いこともしてないのに
猫です 今日知り合いが轢かれて死にました 振り返りもしないトラック
猫です 今日しっぽを切られました 遊び半分の小学生
前世は人間だったという猫さんのお話。
水をかけられることも、仲間が轢かれることも、しっぽを切られることもすべて不本意で悲しい出来事です。
人間だったら喧嘩したり、戦ったり、裁判を起こすこともできるのに、猫の立場になると黙って受け入れるしかない・・。そんな切なくて寂しい気持ちが読み取れます。
こんなことをする人間のことを恨んでしまいそうですね。
人も猫もそんなに変わりはしないな 人間だった頃もそう
自由ではあるけれど ずっと一人きりで寂しいんだな
ところが、人間も猫も変わらないところがある。
それは自由はあるけど、一人なこと。そして寂しさを感じること。
人間も群れているようにみえて、実際は孤独で寂しさを感じていることを前世で知っています。
猫になった今も、やはり寂しさは感じてしまうようです。
人間の記憶を持った猫さんなので、余計にそう感じるのかもしれませんね。
猫です
お昼寝をしていたら やけに優しく毛を撫でられて
思わず逃げてしまったけど ひどく懐かしい気がしたな
彼女は洗濯以外外に出なくて 大体あの窓辺で本を読む
そばに行くとニコリと笑うので また撫でてほしくて通っている
人間に対し警戒心を抱えながら、寂しさも持ち合わせていたある日、
優しく撫でられることに懐かしさを覚えます。
それは人間だった頃に、「よしよし」と撫でてもらった記憶なのかもしれません。
今撫でてくれたのは、優しそうな笑顔の彼女。
嬉しくて、何度も通ってしまいます。
猫です
温かい日々が続き さらに春も訪れちゃったりして
今ではすっかり住み着いて 彼女の編み物を眺めている
月日は流れて、いつの間にかその彼女のところに住み着きました。
そして穏やかな時間を一緒に過ごします。
以前のような寂しさはなくなり、安心感に包まれた日々です。
僕の鍵しっぽを撫でつけ褒めながら 開け放つ窓辺で抱っこされ
うとうとしていたら思い出したんだ まるで母さんみたい
猫の鍵しっぽをご存知でしょうか?しっぽがまるで鍵のようにくるんと曲がっているしっぽを指します。
そんな自分のしっぽを撫でて褒めてくれる彼女。
抱っこされた時に、お母さんを思い出します。そう、それは前世の人間の時のお母さんかもしれません。
今までどうして忘れていたのか
溢れる思い出と言葉が
少し遠出をして急いで彼女へ感謝の花を摘む
彼女に対する気持ちが溢れてきて、どうにか感謝を伝えたくて、遠出をしてお花を摘みに出かけます。
急に思い出したこの感情に突き動かされるようにして。
猫です
彼女の好きな赤を咥えて 戻ると知らない人がたくさんで
眠る彼女を見ていたら もう何となく撫でてくれない気がした
彼女が好きな赤いお花を咥えて戻りますが、どうやら様子がおかしい。
眠っている彼女はいつもと違って、もう目覚めないような、撫でてくれないような嫌な予感がします。
知らない人がたくさんきているのは、彼女が旅立ってしまったからなのですね。
その時は何も感じなかったけれど
次の日の夜家を離れ 一人きりでご飯を食べていたら
やっと 涙がでたよ
あまりにも唐突なことに、何も感じなかった心。
しかし、翌日一人でご飯を食べている時に涙がこぼれます。
気づきたくなかった感情。彼女がいなくなってしまった現実。
寂しい気持ちがまたやってきてきます。
とてもとても悲しいけれど
これは良くないことじゃない
この気持ちも 僕は大事にします
好きも嫌いも言えなくなって
持て余してる感情は いつも涙に姿を変えて流れてゆく
彼女がいなくなって寂しい、会えなくなってとても辛い、悲しい。
だけど、この事実も受け入れていかなければなりません。
しっかり自分の気持ちに向きあって、強くなっている猫さん。
言葉で表現できない気持ちは、涙として流れていきます。
生きるということは、たくさんの感情と向き合うことです。
猫です 最近体が痛くて 涼しい所に身を隠している
猫です いつさよならしても良いように
そばにいる誰かを愛してね
猫さんも自分の猫生を生き、精一杯生きてきました。
自分ももうじきこの世とお別れすると悟り、人目につかないところでじっとしています。
でも、最後までそばにいる人を愛していたい。
そんな優しい気持ちがしみじみと伝わってきます。
たくさんの感情をもって、向き合って生きたのですね。
最後に
人間の記憶を持ちながら猫として生まれた今世。
人間の立場からみる猫と、猫の立場からみる人間。それぞれの見方も感じ方も違いますが、
共通しているのは、嬉しいことや悲しいと感じることは人も猫も一緒だということ。
そして人間と猫の間に愛情や安心感、つながりがあることです。
猫の目を通して季節の変化や、生活、月日の流れを感じることができるこの楽曲は非常に奥が深いですね。
ぜひ身近な猫、道端で見かけた猫がいた場合は少しでもこの曲を思い出してみてください。
橋爪ももさんは他にもたくさん素敵な楽曲があるので、今後またご紹介していきます!